ハワード・S・ベッカー「論文の技法」訳・佐野敏行、講談社学術文庫1996
タイトルからは技術書に見えますが、そうではなく、気の持ちようとか精神的な面で参考になりそうなエピソードをまとめたものです。(著者いわく自伝風)
イメージ的には、スティーブン・キングの「小説作法」(On Writing)の論文執筆者向けヴァージョンといった感じです。
翻訳が直訳的でちょっと読みづらいのですが、内容は悪くない。結構含蓄のあることが書かれていてじわじわと来ます。
著者のメッセージを意訳するとこんな感じです。
■さっさと下書きを書いてしまえ
一発で完成させようとするから筆が止まる、進まない。
とにかく草稿を書いてしまえ。それでちょっとずつ書き直していけばよいのだ。
まったくその通りと思います。
著者は一発で完成させたい心理の原因は、学校のテストだと指摘しています。日本もアメリカもおんなじなのね。
■上等な書き方をしようとするから妙な文章になる
これもよく分かりますね。
つまり外形を整えようと、妙に硬い表現とか使っちゃって、その結果内容がぐだぐだになってしまうというやつです。そういう人よくみます。
■書いたらとにかく人に見てもらえ
できるだけ信頼できる人に、とにかく見てもらいコメントをもらう。
それが文章修行では最善の道。恥ずかしがっていては上達しない。
ただしあまり細かいことにこだわる人は避けるべし。
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