読書生活2009年10月号
お待たせしました。10月号です。
今月は17冊!。
2009年通算で154冊+コミック38冊。
<おすすめ>
①野崎昭弘「不完全性定理」ちくま学芸文庫2006
ゲーテルの不完全性定理を解説した本です。
構造主義数学の流れや階型論理など、
不完全性定理を理解する上で必要な知識もやさしく
解説してあり、非常に分かりやすいです。
②清水義範「大人のための文章教室」講談社現代新書2004
大人のための、と銘打つだけあって、やや上級者向け。
「不特定多数の人に見せる文章」を書く人
(セミプロとか本気モードのブロガー)に役立つノウハウ集です。
といっても内容が難しいわけではありませんので、
誰が読んでも参考になると思います。
③池谷裕二「単純な脳、複雑な私」朝日出版社2009
池谷先生の最新作。
高校生たちへの講義集です。といっても内容は非常に濃い。
最新脳科学の知見が惜しみなく語られております。
本と連動したWebページもあります。
<まあまあ>
①ニーチェ「ツアラトゥストラ I」中公クラシック2002
②ニーチェ「ツアラトゥストラ II」中公クラシック2002
ニーチェの小説代表作。ニーチェ版の聖書とも言われています。
ナチスドイツでは本当の聖書のように崇められ、戦場に持参する兵士も多かったそうです。
ペルシャの預言者のモノローグという独特な形をとっています。
おっしゃていることをまとめると
「哄笑せよ(大笑いせよ)!」「ちまちま悩むな」「アホは相手にすんな」
といったところでしょうか。
まるで、どん底からの雄たけび、のような作品です。
③江畑謙介「情報と国家」講談社現代新書2004
国家レベルで行われている情報活動もしくは諜報活動について、コンパクトに解説した本です。
日本のラヂオプレスもなかなか大した情報機関だそうです。
④大津由紀雄・他「認知科学への招待2」研究社2006
論文集みたいな本です。
定番の言語から、視覚認知、音楽、はてはオントロジーまで。
認知科学とひとくちにいっても扱う内容は実に広範囲なんですね。
⑤中村明「文章工房」ちくま新書1997<絶版?>
いわゆる文章読本です。
語順の問題、あいまいさの諸相、レトリックなど。
中村先生の本は若干マニアックですが、とても参考になります。
残念ながら絶版しているようです。
⑥荒木博之「日本語が見えると英語も見える」中公新書1994
カテゴリー的には英語入門本。結構売れた本ですよね。
日本語=感覚的・多義的
英語=概念的・抽象的
という理論をもとに書かれています。
切り口としてはおもしろいです。
⑦保坂隆「「頭がいい人」のメンタルはなぜ強いのか」中公新書ラクレ2006
心臓病学者の学説をもとにした本です。
タイトルを見ると、メンタルを強くするための方法書のようですが、
内容的にはA型人間(心臓病になりやすい人)の行動パターン解説書という感じです。
⑧伊藤英俊「漢字文化とコンピュータ」中公PC新書1996
漢字コードの歴史について詳しく解説しています。
知らんことが多かったです。
⑨荒井保男「医の名言」中公文庫1999
かなりマニアックな名言集です。
あまりにマニアックで、どこが名言なのかよく分からないものもありますが、
内容はきわめて濃厚。資料価値大でありました。
⑩福田恆存「国語問題論争史」新潮社1962<絶版>
近所の図書館になかったので、国会図書館に出向きました。
江戸時代から昭和(戦後)までの主要な国語論争(嫌漢字、嫌日本語)を網羅的に収録しています。
福田先生は漢字・日本語擁護派です。
だから、一種の反論集でもあります。
ところどころの辛口コメント。たまりません。
⑪田丸卓郎「ローマ字国字論」岩波書店1930
これも図書館になかったので、国会図書館で閲覧しました。
日本出版史上・最長寿を誇った本、つい数年前まで普通に本屋で売っていたとか。
内容的には「日本人はかな文字をやめてローマ字を使うべし」というものです。
どんな些細な異見も完膚なきまでに否定しています。
反対意見の網羅性を追求するばかり、ひとつひとつの反論には若干杜撰なところもあります。
「それは流石に違うでしょ?」と突っ込みたくなるような。
しかしその大人気ない文章は、嫌味を通り越して爽快ともいえます。
途中から、これはもしかするとユーモア本か? と思うほど笑いが込み上げて来ました。
ディベートの教科書あるいはトポスカタログ(反論集)としては、まだまだ使える本だと思います。
再版されたら絶対買います (されんだろうけど)。
⑫海野福寿「韓国併合」岩波新書1995
韓国併合にまつわる歴史の解説書です。
著者によると、日韓併合というのは間違いで、韓国併合というのが正式な呼称だそうです。
皇民化教育についての内容を期待したのですが、残念ながら書いてなかったです。
⑬柳田國男「毎日の言葉」新潮文庫1956
昭和16年、世情騒然たる時代に女性向けに書かれた本です。
戦争だのなんだのと浮かれているような男どもは捨ておき、
女性のみなさんは落ちついて勉強しましょう、そう柳田先生は言い放っておられます。
日本の底力を感じますね。
内容を見ると、この時代も「言葉の乱れ」が相当あったようです。
言葉って結局、いつも乱れぱなしなんですね。
⑭山本七平「「空気」の研究」文春文庫1983
山本先生の代表作ですね。
日本人の行動様式を、「空気と水」という比喩を使って分析しています。
今月は17冊!。
2009年通算で154冊+コミック38冊。
<おすすめ>
①野崎昭弘「不完全性定理」ちくま学芸文庫2006
ゲーテルの不完全性定理を解説した本です。
構造主義数学の流れや階型論理など、
不完全性定理を理解する上で必要な知識もやさしく
解説してあり、非常に分かりやすいです。
②清水義範「大人のための文章教室」講談社現代新書2004
大人のための、と銘打つだけあって、やや上級者向け。
「不特定多数の人に見せる文章」を書く人
(セミプロとか本気モードのブロガー)に役立つノウハウ集です。
といっても内容が難しいわけではありませんので、
誰が読んでも参考になると思います。
③池谷裕二「単純な脳、複雑な私」朝日出版社2009
池谷先生の最新作。
高校生たちへの講義集です。といっても内容は非常に濃い。
最新脳科学の知見が惜しみなく語られております。
本と連動したWebページもあります。
<まあまあ>
①ニーチェ「ツアラトゥストラ I」中公クラシック2002
②ニーチェ「ツアラトゥストラ II」中公クラシック2002
ニーチェの小説代表作。ニーチェ版の聖書とも言われています。
ナチスドイツでは本当の聖書のように崇められ、戦場に持参する兵士も多かったそうです。
ペルシャの預言者のモノローグという独特な形をとっています。
おっしゃていることをまとめると
「哄笑せよ(大笑いせよ)!」「ちまちま悩むな」「アホは相手にすんな」
といったところでしょうか。
まるで、どん底からの雄たけび、のような作品です。
③江畑謙介「情報と国家」講談社現代新書2004
国家レベルで行われている情報活動もしくは諜報活動について、コンパクトに解説した本です。
日本のラヂオプレスもなかなか大した情報機関だそうです。
④大津由紀雄・他「認知科学への招待2」研究社2006
論文集みたいな本です。
定番の言語から、視覚認知、音楽、はてはオントロジーまで。
認知科学とひとくちにいっても扱う内容は実に広範囲なんですね。
⑤中村明「文章工房」ちくま新書1997<絶版?>
いわゆる文章読本です。
語順の問題、あいまいさの諸相、レトリックなど。
中村先生の本は若干マニアックですが、とても参考になります。
残念ながら絶版しているようです。
⑥荒木博之「日本語が見えると英語も見える」中公新書1994
カテゴリー的には英語入門本。結構売れた本ですよね。
日本語=感覚的・多義的
英語=概念的・抽象的
という理論をもとに書かれています。
切り口としてはおもしろいです。
⑦保坂隆「「頭がいい人」のメンタルはなぜ強いのか」中公新書ラクレ2006
心臓病学者の学説をもとにした本です。
タイトルを見ると、メンタルを強くするための方法書のようですが、
内容的にはA型人間(心臓病になりやすい人)の行動パターン解説書という感じです。
⑧伊藤英俊「漢字文化とコンピュータ」中公PC新書1996
漢字コードの歴史について詳しく解説しています。
知らんことが多かったです。
⑨荒井保男「医の名言」中公文庫1999
かなりマニアックな名言集です。
あまりにマニアックで、どこが名言なのかよく分からないものもありますが、
内容はきわめて濃厚。資料価値大でありました。
⑩福田恆存「国語問題論争史」新潮社1962<絶版>
近所の図書館になかったので、国会図書館に出向きました。
江戸時代から昭和(戦後)までの主要な国語論争(嫌漢字、嫌日本語)を網羅的に収録しています。
福田先生は漢字・日本語擁護派です。
だから、一種の反論集でもあります。
ところどころの辛口コメント。たまりません。
⑪田丸卓郎「ローマ字国字論」岩波書店1930
これも図書館になかったので、国会図書館で閲覧しました。
日本出版史上・最長寿を誇った本、つい数年前まで普通に本屋で売っていたとか。
内容的には「日本人はかな文字をやめてローマ字を使うべし」というものです。
どんな些細な異見も完膚なきまでに否定しています。
反対意見の網羅性を追求するばかり、ひとつひとつの反論には若干杜撰なところもあります。
「それは流石に違うでしょ?」と突っ込みたくなるような。
しかしその大人気ない文章は、嫌味を通り越して爽快ともいえます。
途中から、これはもしかするとユーモア本か? と思うほど笑いが込み上げて来ました。
ディベートの教科書あるいはトポスカタログ(反論集)としては、まだまだ使える本だと思います。
再版されたら絶対買います (されんだろうけど)。
⑫海野福寿「韓国併合」岩波新書1995
韓国併合にまつわる歴史の解説書です。
著者によると、日韓併合というのは間違いで、韓国併合というのが正式な呼称だそうです。
皇民化教育についての内容を期待したのですが、残念ながら書いてなかったです。
⑬柳田國男「毎日の言葉」新潮文庫1956
昭和16年、世情騒然たる時代に女性向けに書かれた本です。
戦争だのなんだのと浮かれているような男どもは捨ておき、
女性のみなさんは落ちついて勉強しましょう、そう柳田先生は言い放っておられます。
日本の底力を感じますね。
内容を見ると、この時代も「言葉の乱れ」が相当あったようです。
言葉って結局、いつも乱れぱなしなんですね。
⑭山本七平「「空気」の研究」文春文庫1983
山本先生の代表作ですね。
日本人の行動様式を、「空気と水」という比喩を使って分析しています。
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