小松公夫「論理思考の鍛え方」講談社現代新書2004

小学校受験から司法試験まで、難関試験で、問われる能力てのは共通である。という説について、実際の試験問題を交えて論じた本です。
たいへん参考になりました。
著者は試験対策予備校みたいなところで、医学部入試から司法試験まで、いろんな難関試験の指導をやっておられる方。

■東大出身者はなぜ試験に強いのか
試験てのは難関試験に限らず、要するに、知識と思考力を量るものです。

知識は、試験によって専門領域が違うので、共通的な知識てのはあまりない。したがって試験範囲の内容を覚えるしかない。

では、思考力はどうか。
これも一見、試験ごとに、全然ちがう能力が要求されてそうなのですがそうではない。実は、少学校受験から東大や司法試験まで、共通のものだって話です。

これは目からウロコでした。積年の疑問が氷解しました。
私はかねがね「東大を出ている人は、どんな試験にも強い」という印象をもっていましたが、試験に強い理由については、恥ずかしながら非常に短絡的に「東大行く人はとにかく頭がいいから」と考えていました。

それは、ちょいと違うわけですね。

東大出は「試験で求められる思考力(能力)が高いから、どの試験にも強い」ということ(とにかく頭がいい人も多いとは思いますが)。これは似て非なる話ですね。

で、その共通能力とはなにか。
著者によると次の7つだそうです。
①推理能力(ものごとの関係性の発見)
②比較能力(相対性の認識)
③集合能力(全体と部分の把握)
④抽象能力(高度な問題解決能力)
⑤整理・要約能力(言語を媒介とする論理性)
⑥直感的着眼能力(拡散的思考力)
⑦因子順列能力(問題解決にあたってどの能力をどのような順番で使用するか、などを適切に考える能力だそうです)

で、これらの能力を高める(鍛える)ためにはどうしたらよいのか?
それが、あまりはっきり書いてないのですが、たぶん次の2つなんだろと思います。
①しっかり観察することを習慣化する。
②上記の推理や集合や抽象などに関する知識(フレームワークか)。

仕事ができないとか、トンチンカンな人を見ると、つい「こいつ頭が悪いのでは?」とか「勉強(知識)不足やろ」と思いがちですが、よく考えたらそれ以前に「よく見てない」「見えてない」ことが多い気がします。いくら知識があって観察ができておらなければ、トリガは引けない。結局、観察力とか観察の仕方に関する知識てのが一番大事てことですね。たいへん勉強になりました。

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