宮部修「一夜漬け 文章教室」PHP新書2008

著者は読売新聞の元記者。上智大学などで文章指導をされていたときの経験なども交えて文章の書き方を語った本です。たいへん勉強になりました。ただし残念ながら絶版している様子。

著者いわく、文章の中で一番書くのが難しいのはエッセイ。
 だから、エッセイ(いわゆる随筆ですな)を書けるようになれば、レポートだの小論文などはお茶の子さいさいなのだと。

で、エッセイで一番大事なことは何かというと、結局は「実体験」だということです。
こうした発言を見ると、「綴り方教室」の偽善?教師、大木顕一郎に感じる胡散臭さ、(其れは結局文系の人に対するコンプレックスかもしれんが)を思い出さぬでもないのですが、「面白い実体験談が語られなければ、文章であれプレゼンであれ、しょせんはつまらぬものになってしまう」というのは、わたしも常々感じるところではあります。

しかし、ほとんどの人間は、ありふれた日常を生きてるわけで、面白いエピソードがそうそうあるわけではない。これっていうエピソードがないときは、どうしたらいいのか? 
著者のアドバイスは「だれもが見過ごしがちなちょっとしたことにふれる」です。たしかにね。神は細部に宿るということですね。

出張報告みたいのをさせると、若手男子の場合は、何でそんな一般論みたいのしゃべるの?という実につまらん内容で、起きてられるのは3分が限度みたいなことがたまにありますが、女性社員の場合にはそういうことが滅多にありません。
どうしてなのかなあ? かねがね疑問に思っていたのですが、これを読んでいて、その原因に気づきました。
結局、女性のほうが男よりも、観察力があるというか細かいところをよく見ているので、具体的な話ができるということですね。男は、概念化とか抽象化をしたがるために、細かい部分をどんどんカットしてしまい、結局、おいしいところまで捨ててしまうみたいなことです。

気をつけないといけません。

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