業務仕分け(前編)

「人から文句を言われたくない」
そう考える人は、わりと多かったと思う。

そういう人はどうしていたかというと、基本的には守りを固めるという戦術をとっていた。
つまり余計なことはしない、ややこしいことは見ざる聞かざる言わざるでやり過ごすという方法である。

かつてはこれで、文句を防ぐ十分な効果があった。

ところが今、残念ながらその効果はかなり低くなっている。
功利的・利己的な価値観が主流化クレーマー文化がすっかり定着してしまったからである。人が嫌がろうが何しようが、言うべきことはいう(言うべきでないことも言う)、それがグローバルスタンダードだということなのであろう。奥ゆかしく黙ってなどいようものなら、アホかと言われかねない時代である。

そういう状況であるにもかかわらず、ひたすら専守防衛だけで、なんとか頑張ろうとしている人たちがいる。先生や病院スタッフなどがその最たる例であろう。

防衛のために膨大なエネルギーを注ぎ込む。
しかしクレームは一向に減らない。隙あらば追いかけてくる。
その上、「なんで給食費払う必要あんの?」というような便乗窃盗犯まで登場する始末。

それでも他に有効な手立てもないものだから、ますます防衛のためにエネルギーをつぎこむ。
しかしクレーム減るどころかますます増えていく。いくら守りを固めても、攻撃(口撃)を受ければダメージも貯まっていく。
気がつけば身も心もズタボロ。防衛どころか、自己破壊まっしぐらである。

いたましいの一語につきる。
このようなクレーマー文化がいかに日本の国力を低下させているか、そろそろ真摯に反省せねばならぬと思う。

しかし現実問題としてはクレーム文化が近々改まる兆しはない。
誰もがクレームの恐怖に晒されているのである。

どうしたらよいか。
結局、反撃するしかないと思う。攻撃を根絶し、かつダメージの回復を図るには、残念ながらそれしかない方法を思いつかない。

短絡的という謗りもあろう。反撃が新たなクレームを呼ぶという声もあるだろう。

しかし、「ただ耐えろ」というのは、「絶対輸血するな」といって信者を殺してしまうどこかの宗教団体の教義と同じで、一見倫理的であっても、実は空疎空論に過ぎないと思うのである。人間も生き物である以上、まずは自己防衛を最優先せざるを得ないではないか。

それではどうするか。
「業務仕分け」を例に考えてみよう。

あの「スーパーコンピュータ問題」。「なんで2番じゃダメなんですか?」というやつ。
これは世界ビックリのクレームだったと思う。
あまりに不条理で、流石のノーベル賞学者も、反論がしどろもどろになってしまった。

これはたとえば浅田真央に「なんで金メダルが必要なんですか? 銀でいいじゃないですか」と言ってるのと同じで、誰が聞いても変なのだが、あまりに変すぎて「なぜならば」以下がすんなり出てこない。

こんな不条理クレームは、ハッキリいって卑怯である。

しかしこういうのが平気で行き交うのが現代なのである。
的確に反論する技術を身につけておく必要がある。

さあどう返したらいいでしょう。

疲れたので続きは次回。

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