業務仕分け（完結編）
この話題で三回も引っ張ってしまいました。。。
今回は「何に反論すべきか」です。
前置きは省いて早速本題に入りましょう。
たとえば、よくあるこういう話。
●主張「あいつは「英語」ができない。だから、この「仕事」は任せられない」
これに反論したいとき、どう言うのがよいでしょう？
よく聞くのは、こういう反論です。
●よくある反論①「人を無能よばわりするのは、いかがなものか」
●よくある反論②「人間、がんばればなんでもできる」
●よくある反論③「あいつはやる気がある」
「あいつには無理だ」に反応したものです。
一般的な倫理観みたいなのを根拠に、いきなり別の論理を持ち出したわけです。
相手の論理を無視して、ただ言いたいことを言うのは、そもそも議論ではありません。子供の喧嘩と同じです。
相手が老獪な人なら、軽くいなされて終わります。
ちなみに、こういう論法をすぐ持ち出す人は、不誠実な人が多いです。典型的な精神論愛好者であることも多い。いずれにせよ生産的な議論ができる相手ではないので、あまりお付き合いしたくないです。
精神論の問題については、別途論じることにして、話を進めましょう。
こういう反論もよくあります。
●よくある反論④「あいつは何度も海外旅行に行っている。だから少しは英語ができるはずだ」
●よくある反論⑤「あいつは大学を出ている。だから少しは英語ができるはずだ」
つまり、その仕事はカタコト英語でもできる、と言ってるわけですね。
いちおう「言い返した」感じはあります。
「少しは英語ができる」ことの根拠をもっとたくさんピックアップして、まくし立てれば、それなりの効果がありそうに見えます。
実際そうしている人を頻繁に見かけます。
しかし実はこれ、まったく反論になっていないのです。
だからいくらまくし立てても、ニヤニヤと受け流されるだけ。
時間稼ぎで使うのはよいでしょうが、それもあまり長々やるのは止めたほうがいいでしょう。
周りで聞いている人からアホか！と思われる可能性が高いからです。
そうなると後でまともな反論をしても、説得力がありません。
どうしてこれが反論になっていないのか。
それは相手の主張に含まれる価値観（あるいは大前提）を肯定してしまっているからです。
相手の主張はこうでした。
●主張「あいつは「英語」ができない。だから、この「仕事」は任せられない」
これを命題の形に整理するとこうなります。
＜命題化＞
・根拠： あいつは英語ができない
・結論： （だから）あいつに、この仕事は無理だ
この主張の論拠になっている価値観（あるいは大前提）は何でしょうか？
それは明らかに「この仕事をやるためには、英語力が必要だ」です。
上のよくある反論では、目先の根拠に対して「あいつは英語ができないわけではない」と反応しています。
その結果「英語力が必要だ」という論拠には（逆に）同意してしまっているわけです。
それで（英語力の）程度問題を議論しても、「程度がよいに越したことはない」という一般論には勝てませんから、結局、相手の主張を崩すことはできないわけです。
ここから適切な反論とはどういうものか見えてきますね。
そう、相手の論拠を否定するのが切れ味鋭い反論ということになります。
たとえばこんな感じです。
●相手の論拠「この仕事をやるためには、英語力が必要だ」
→（論拠の否定）
「この仕事をやるのに、英語力は必須ではない」
●論理展開例：
・この仕事をやるために必須なのは(英語力ではなく）統率力である。
英語力さえあれば、この仕事ができるというのであれば、
イギリス人の子供でもよいということになる。
・英語力がないからこそ、よいのである。
なぜなら、英語力のない者がどこまでやれるのか、それを測るのが今回の目的だからである。
どうでしょうか？
最後に、Winston S. Churchill "second world war（第二次世界大戦「回顧録」）より。
日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。しかし、これでは困る。反論する相手をねじ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない。それでもう一度無理難題を要求すると、またこれも呑んでくれる。すると議会は、いままで以上の要求をしろという。
無理を承知で要求してみると、今後は笑みを浮かべていた日本人がまったく別人の顔になって、「これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことをいうとは、あなたは話のわからない人だ。ここに至っては、刺し違えるしかない」 と言って突っかかってくる。
英国はその後マレー半島沖合いで戦艦プリンスオブウェールズとレパルスを 日本軍に撃沈され、シンガポールを失った。
日本にこれほどの力があったなら、もっと早く発言して欲しかった。日本人は外交を知らない。
ぶち切れるだけでは議論に勝てないのです。
今回は「何に反論すべきか」です。
前置きは省いて早速本題に入りましょう。
たとえば、よくあるこういう話。
●主張「あいつは「英語」ができない。だから、この「仕事」は任せられない」
これに反論したいとき、どう言うのがよいでしょう？
よく聞くのは、こういう反論です。
●よくある反論①「人を無能よばわりするのは、いかがなものか」
●よくある反論②「人間、がんばればなんでもできる」
●よくある反論③「あいつはやる気がある」
「あいつには無理だ」に反応したものです。
一般的な倫理観みたいなのを根拠に、いきなり別の論理を持ち出したわけです。
相手の論理を無視して、ただ言いたいことを言うのは、そもそも議論ではありません。子供の喧嘩と同じです。
相手が老獪な人なら、軽くいなされて終わります。
ちなみに、こういう論法をすぐ持ち出す人は、不誠実な人が多いです。典型的な精神論愛好者であることも多い。いずれにせよ生産的な議論ができる相手ではないので、あまりお付き合いしたくないです。
精神論の問題については、別途論じることにして、話を進めましょう。
こういう反論もよくあります。
●よくある反論④「あいつは何度も海外旅行に行っている。だから少しは英語ができるはずだ」
●よくある反論⑤「あいつは大学を出ている。だから少しは英語ができるはずだ」
つまり、その仕事はカタコト英語でもできる、と言ってるわけですね。
いちおう「言い返した」感じはあります。
「少しは英語ができる」ことの根拠をもっとたくさんピックアップして、まくし立てれば、それなりの効果がありそうに見えます。
実際そうしている人を頻繁に見かけます。
しかし実はこれ、まったく反論になっていないのです。
だからいくらまくし立てても、ニヤニヤと受け流されるだけ。
時間稼ぎで使うのはよいでしょうが、それもあまり長々やるのは止めたほうがいいでしょう。
周りで聞いている人からアホか！と思われる可能性が高いからです。
そうなると後でまともな反論をしても、説得力がありません。
どうしてこれが反論になっていないのか。
それは相手の主張に含まれる価値観（あるいは大前提）を肯定してしまっているからです。
相手の主張はこうでした。
●主張「あいつは「英語」ができない。だから、この「仕事」は任せられない」
これを命題の形に整理するとこうなります。
＜命題化＞
・根拠： あいつは英語ができない
・結論： （だから）あいつに、この仕事は無理だ
この主張の論拠になっている価値観（あるいは大前提）は何でしょうか？
それは明らかに「この仕事をやるためには、英語力が必要だ」です。
上のよくある反論では、目先の根拠に対して「あいつは英語ができないわけではない」と反応しています。
その結果「英語力が必要だ」という論拠には（逆に）同意してしまっているわけです。
それで（英語力の）程度問題を議論しても、「程度がよいに越したことはない」という一般論には勝てませんから、結局、相手の主張を崩すことはできないわけです。
ここから適切な反論とはどういうものか見えてきますね。
そう、相手の論拠を否定するのが切れ味鋭い反論ということになります。
たとえばこんな感じです。
●相手の論拠「この仕事をやるためには、英語力が必要だ」
→（論拠の否定）
「この仕事をやるのに、英語力は必須ではない」
●論理展開例：
・この仕事をやるために必須なのは(英語力ではなく）統率力である。
英語力さえあれば、この仕事ができるというのであれば、
イギリス人の子供でもよいということになる。
・英語力がないからこそ、よいのである。
なぜなら、英語力のない者がどこまでやれるのか、それを測るのが今回の目的だからである。
どうでしょうか？
最後に、Winston S. Churchill "second world war（第二次世界大戦「回顧録」）より。
日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。しかし、これでは困る。反論する相手をねじ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない。それでもう一度無理難題を要求すると、またこれも呑んでくれる。すると議会は、いままで以上の要求をしろという。
無理を承知で要求してみると、今後は笑みを浮かべていた日本人がまったく別人の顔になって、「これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことをいうとは、あなたは話のわからない人だ。ここに至っては、刺し違えるしかない」 と言って突っかかってくる。
英国はその後マレー半島沖合いで戦艦プリンスオブウェールズとレパルスを 日本軍に撃沈され、シンガポールを失った。
日本にこれほどの力があったなら、もっと早く発言して欲しかった。日本人は外交を知らない。
ぶち切れるだけでは議論に勝てないのです。
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