意図解釈
世の中には、わざと分かりにくい表現をする人、がいます。
なぜそうするのか。
それを見抜くのも聞く力(読解力)ですね。
見抜くためには論理学が役に立ちますね。
野矢茂樹「論理トレーニング101題」という本にこういう例文がありました。
①「内容物と分離したときに不要にならないものは、容器包装ではない」
なんのこっちゃ?
実はこれ通産省(現:経産省)発行の「お触れ書き」の一節。
容器包装とは、ペットボトルなどを指しています。
実質的にはたぶん
②「内容物と分離したとき不要になるものは、容器包装である」
と同義でしょう。こう言ってもらうと分かりやすい。
ところが①と②は、形式論理上は「同じとは限らない」ことになっています。
②は①の「裏」命題だからですね。
お役人さまに「②の意味ですよね?」と聞けば、「いや、そうは言ってません」と答えるはずです。
そう言えるよう、わざわざ①のように書いてるのですから。
ではこれならどうか。
③「容器包装とは、内容物と分離したとき不要になるものである」
これは①の「対偶」、つまり論理上は①と同じ意味になります。
お役人さまも違うとは言えない。
なら、こう書いてよさそうですが、そこをあえて①。
ついでに「逆」も見ておくと、
④「容器包装ではないものは、内容物と分離したとき不要にならないものである」となります。
「裏と逆は必ずしも真ならず」、ということで①と同じ意味かどうかは不定です。
さて、お役人さまが、なぜ①のように書いたのか?
二つのことが考えられます。
一つ目は、再利用可能な容器、たとえば水筒として使えるボトルなどは、容器包装の範疇から除外すると言いたかった。(これは野矢さんの本にも書いています)
首にかかっている「景品」なども除外アイテムになりますね。
二つ目は、不要になるもののうち、キャップとかラベルは、容器包装の範疇から除外すると言いたかった。
それならそうと、容器包装とはペットボトル本体のことだ、と言ってもらうと分かりやすいのですが、そうすると、お菓子の箱とか肉や魚が入っている発泡スチロールトレイとかはどうなんだ? みたいな話になる。
お触書や法令文書では曖昧性をなくすことと同時に網羅性の確保が要求されるのです。
だから、抽象的な表現にせざるを得ないのですね。
こう考えると①のような文章も「労作」に見えてきます。
もうちょっと書きようはあると思いますけどね。
われわれの頭を悩ませるユーザ要件。
要件のパラドックス(矛盾)や、勘違いは慎重に除去しなければなりません。
そのときも「裏」「対偶」「逆」の検討は役に立ちますね。
いかがでしょうか?
なぜそうするのか。
それを見抜くのも聞く力(読解力)ですね。
見抜くためには論理学が役に立ちますね。
野矢茂樹「論理トレーニング101題」という本にこういう例文がありました。
①「内容物と分離したときに不要にならないものは、容器包装ではない」
なんのこっちゃ?
実はこれ通産省(現:経産省)発行の「お触れ書き」の一節。
容器包装とは、ペットボトルなどを指しています。
実質的にはたぶん
②「内容物と分離したとき不要になるものは、容器包装である」
と同義でしょう。こう言ってもらうと分かりやすい。
ところが①と②は、形式論理上は「同じとは限らない」ことになっています。
②は①の「裏」命題だからですね。
お役人さまに「②の意味ですよね?」と聞けば、「いや、そうは言ってません」と答えるはずです。
そう言えるよう、わざわざ①のように書いてるのですから。
ではこれならどうか。
③「容器包装とは、内容物と分離したとき不要になるものである」
これは①の「対偶」、つまり論理上は①と同じ意味になります。
お役人さまも違うとは言えない。
なら、こう書いてよさそうですが、そこをあえて①。
ついでに「逆」も見ておくと、
④「容器包装ではないものは、内容物と分離したとき不要にならないものである」となります。
「裏と逆は必ずしも真ならず」、ということで①と同じ意味かどうかは不定です。
さて、お役人さまが、なぜ①のように書いたのか?
二つのことが考えられます。
一つ目は、再利用可能な容器、たとえば水筒として使えるボトルなどは、容器包装の範疇から除外すると言いたかった。(これは野矢さんの本にも書いています)
首にかかっている「景品」なども除外アイテムになりますね。
二つ目は、不要になるもののうち、キャップとかラベルは、容器包装の範疇から除外すると言いたかった。
それならそうと、容器包装とはペットボトル本体のことだ、と言ってもらうと分かりやすいのですが、そうすると、お菓子の箱とか肉や魚が入っている発泡スチロールトレイとかはどうなんだ? みたいな話になる。
お触書や法令文書では曖昧性をなくすことと同時に網羅性の確保が要求されるのです。
だから、抽象的な表現にせざるを得ないのですね。
こう考えると①のような文章も「労作」に見えてきます。
もうちょっと書きようはあると思いますけどね。
われわれの頭を悩ませるユーザ要件。
要件のパラドックス(矛盾)や、勘違いは慎重に除去しなければなりません。
そのときも「裏」「対偶」「逆」の検討は役に立ちますね。
いかがでしょうか?
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