バランス

少し前のニュース。某知事、総選挙出馬を断念。
いろいろ理由はあるだろうが、最大の理由は「地方分権」というキーワードが、いまいち受けなかったことであろう。

中央集権がきついと、地方ニーズに柔軟に対応できないことは分かる。
しかし地方分権やり過ぎると、地域格差とか地元業者と行政の癒着とか問題も起こりがちなことを過去の歴史で学んでいる。
だから単純に地方分権、と言われても、盛り上がりにくいのである。
しかも「改革なくして成長なし」みたいな、意味の分からんキーワードに翻弄された記憶も新しい。キーワード・アレルギーもある。

システムの世界に目を転じると、中央集権というべき全体最適化がもてはやされている。
その一方、地方分権というべき部分最適化は悪とされている。

この全体最適化、アメリカの企業では、結構まじめに取り組んいる。
但し、ちょっとやり過ぎのきらいがあり、ユーザ部門とEA推進部門(IT部門)がギクシャクすることも少なくないようだ。

日本では、はっきりいってあまり進んでいない。

なんでか。
先日ある企業の方と話をしたら、経営者にやる気がないのが原因、ということで意見が一致した。

日本の経営者が無能ということではない。
日本とアメリカでは何をもって「よい状態」とするかの判断基準が違うらしいということである。
価値観の問題といってもよいだろう。

おそらくアメリカの経営者は、「毎日、毎日、どこまで徹底的にやったか」で評価されるのではないだろうか。叩き上げ社長が少なく、プロの社長が多いことも、この短期決戦型スタイルに影響しているように思う。一方、日本の場合は、徹底性はあまり重要ではなく、適当な利益を出し続けているという継続性の方が重視されるのではなかろうか。その結果、部門・支店ごとに別々のシステムを使っていても、まあ大目に見よう、うるさくいうのはやめておこう、ということになるでのはなかろうか。

地方分権がよいか中央集権がよいかと同じ話である。
どちらに片寄せするのもダメだと思う。
バランスが必要だろう。

じゃあどこで線引けばよいのか。

それが難しい。
何を隠そう困っているのである。
全体最適化の担当なので。



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