読書生活2010年5月号
ついに5月号!
5月は久々に20冊超。21冊でした。
■500冊カウントダウンは:★残り30冊!★
(読書生活 通算470冊+コミック38冊)
<おすすめ>
①塩野七生「日本人へ リーダー編」文春新書2010
文藝春秋の巻頭随筆をまとめた本です。
塩野先生は、ご存知「ローマ人の物語」の著者。
世の中には「師匠!」とすがりつきたくなる人がいるもんですが、塩野先生はまさにそういうお方。しかも「ほめてもらう」より「叱ってもらいたい」方です。
この本はそういうマゾ気ファンには待望の書といえるでしょう。
「日本の男ども! しゃっきとせんかい!」というメッセージにあふれています。
②加藤陽子「戦争の日本近現代史」講談社現代新書2002
東大准教授、近現代史研究、加藤先生です。
攘夷論と征韓論の関係など。なるほど!と納得しました。
③黒野耐「参謀本部と陸軍大学校」講談社現代新書2004
陸軍大学の教育がどういうもので、それが陸軍全体にどういう影響をもたらしたか論じた本です。
勉強になりました。
陸軍大学ってのは、要するに官僚(すなわちスタッフ)養成機関でしかなく、高級参謀とか将軍(リーダー)を育てるための教育は全然できてなかったんですね。にもかかわらず、陸大出身者をどんどん出世させてしまった。それで、リーダーとしては無能なのが上層部にはびこるようになり、陸軍がダメになってしまったと。
実はこの「リーダー養成の不備」という問題、現代の日本社会にもそのまま受け継がれいるのです。「島耕作」読むとよく分かりますが、大企業でも「リーダーとはどうあるべきか」という基準は不明確で、前任者が気分次第で次のリーダー選ぶ、というのが一般的です。
それでは、しっかりしたリーダーが育つわけありませんね。
だから日本は「労働者は世界一優秀。経営者は世界一無能」なんて言われてしまうわけです。
高度成長期ならそれでも良かったかもしれませんが、現在のような低成長でしかも競争の激しい時代、そんなんでは日本が沈没してしまいますがな。
もうボチボチ、リーダーとはどうあるべきか、そしてリーダーを養成するには、どうしたらよいか、戦国時代の君主教育にでも立ち返って、しっかり考える必要があると思います。
<まあまあ>
①上田武司「魚河岸マグロ経済学」集英社新書2003
マグロ仲買商の語ることばを劇画風にまとめた本です。
マグロにまつわる経済活動について、非常によく分かりました。
おいしいマグロの選び方も参考になりました。
②網野善彦「中世の非人と遊女」講談社学術文庫2005
学術論文集ですね。かなりアカデミックです。
前に時代小説で読んでから、江戸の非人頭・車善七に興味をもっておりまして、その関係の話を期待して読んだのですが、残念ながらまったく出てこず。もっばら被差別階級の発祥についての考察でした。
非人や穢多は、もともと朝廷に直属する一種の聖職者(穢れを払う人たち)だったそうで、それがいつのまにか被差別民化したとのことです(たぶん)。
ちなみに車善七は、世襲名です。
代々、そこらの豪商顔負けの富と権力を誇り、邸宅は吉原の隣接地で900坪もあったとか。
いくつか本が出てるので、そのうち読みたいと思います。
③飯田泰之「ダメな議論」ちくま新書2006
ダメな議論とは、一見理屈が通っているが、実はそうではない議論のことです。
本書はそれを見抜く方法を解説したものです。
著者が示すチェックポイントは次の5つ。
・単純なデータ観察で否定されないか
・定義の誤解・失敗はないか
・無内容または反証不可能な言説
・比喩と例話に支えられた主張
・難解な理論の不安定な結論
これらは科学理論を検証するときのチェックポイントと同じです。
本書で取り上げている「ダメな議論の実例」はたいへん参考になりました。
④清水義範「日本語がもっと面白くなるパズルの本」光文社文庫1991
日本語トリビア問題集です。
NHKでは「テトラポット」という言葉を使わない(使えない)そうです。知りませんでした。
じゃあなんていうかというと「波消しブロック」。分かりにくいと思うのですけどねえ。
⑤清水義範「ことばの国」集英社文庫1993
同じく清水先生。「ことば」をモチーフにした小説を集めた本です。
笑えます。
⑥中島孝志「40歳からの人を動かす「表現力」」講談社+α文庫2004
読んで字の如く、うまい表現の方法を解説した本です。
小難しい理屈はなく、実例中心なので非常に分かりやすいです。
40歳からの、というのはあまり意識する必要ないですね。
年齢に関係なく、参考になると思います。
⑦森義信「メルヘンの深層」講談社現代新書1995
メルヘンには、たくさんの歴史情報が含まれている、という仮説を紹介した本です。
心理学系のメルヘン解釈本でも引用されていました。
⑧鈴木秀子「9つの性格」PHP1997
エニアグラム解説本のスタンダードですね。かなり売れたと思います。
文庫化もされています。
エニアグラムというのは大昔にアフガニスタンのあたりで体系化された、性格タイプ理論の元祖で、君主教育で使われていたものだそうです。それゆえ元々は門外不出の秘法だったのですが、ユングがこれを研究して発表したため、世界中の知れるとことなったのですね。
エニアグラムでは、人間の性格を単純に分類するのではなく、多面的に評価します。
この発想は、そのままユング系の性格タイプ理論MBTIに受け継がれいます。
一度は読んでおいて損のない本だと思います。
⑨塩田丸男「人体表現読本」文春文庫2003
「てぐすね」とか「ぼんのくぼ」とか、人体のパーツが含まれている表現を集めて解説した本です。なかなか面白かったです。
⑩黒柳徹子「トットの欠落帖」新潮文庫1989
大ベストセラー「窓際のトットちゃん」の続編ですね。なつかしくて購入。
黒柳さんのビックリエピソード満載。とにかく黒柳さんって、変わった人です。
⑪守屋洋「中国古典の人生学」PHP文庫1993
ご存知、守屋先生の中国古典もの。朝三暮四とか舎短取長とかといった四文字熟語の原典を解説したものです。
最近は守屋先生の息子さんも活躍されてますね。
⑫谷原誠「するどい質問力」三笠書房2008
弁護士さんの書いた、質問ノウハウ本です。
H中将からご推奨いただいたので急遽、国会図書館にて通読。
ラポールの形成方法とか、セミナーなどでの軽い質問の方法とか、たいへん勉強になりました。
JUASレポートでも引用する予定。
⑬保阪正康「昭和史七つの謎」講談社文庫2003
タイトル通り「昭和史もの」です。
保阪先生の文章はちょっと読みづらいのが玉に瑕ですが、内容は豊富です。
取り上げられているエピソードは五一五事件、東京裁判など。
⑭保阪正康「昭和史七つの謎 Part2」講談社文庫2003
上記の続編です。
吉田茂といえば英語屋というイメージでしたが、実は幼少期にかなり高度な漢文教育を受けていたんですね。まったく知りませんでした。
⑮源田實「海軍航空隊発進」文春文庫1997
海軍航空隊始末記の前編にあたるものです。
大正から昭和初期にかけての海軍航空隊黎明期の様子がよくわかります。
⑯白石謙二「人に好かれる声の磨き方と話し方」長岡書店2010
ボイストレーニング本です。
面接セミナーで声が聞きづらいといわれたので、八重洲ブックセンターに買いに行きました。DVD付き。でも結局、1日しか練習しておらず。。。
明日からがんばります。
⑰社会保険庁有志「年金をとりもどす方法」講談社現代新書2004
年金ノウハウ本です。
ちょっと情報が古いと思いますが、とりあえず参考になります。
⑱浜口直太・上野則男「目的達成の教科書」ゴマブックス2009
目的を明確にする方法などについて解説した本です。
5月は久々に20冊超。21冊でした。
■500冊カウントダウンは:★残り30冊!★
(読書生活 通算470冊+コミック38冊)
<おすすめ>
①塩野七生「日本人へ リーダー編」文春新書2010
文藝春秋の巻頭随筆をまとめた本です。
塩野先生は、ご存知「ローマ人の物語」の著者。
世の中には「師匠!」とすがりつきたくなる人がいるもんですが、塩野先生はまさにそういうお方。しかも「ほめてもらう」より「叱ってもらいたい」方です。
この本はそういうマゾ気ファンには待望の書といえるでしょう。
「日本の男ども! しゃっきとせんかい!」というメッセージにあふれています。
②加藤陽子「戦争の日本近現代史」講談社現代新書2002
東大准教授、近現代史研究、加藤先生です。
攘夷論と征韓論の関係など。なるほど!と納得しました。
③黒野耐「参謀本部と陸軍大学校」講談社現代新書2004
陸軍大学の教育がどういうもので、それが陸軍全体にどういう影響をもたらしたか論じた本です。
勉強になりました。
陸軍大学ってのは、要するに官僚(すなわちスタッフ)養成機関でしかなく、高級参謀とか将軍(リーダー)を育てるための教育は全然できてなかったんですね。にもかかわらず、陸大出身者をどんどん出世させてしまった。それで、リーダーとしては無能なのが上層部にはびこるようになり、陸軍がダメになってしまったと。
実はこの「リーダー養成の不備」という問題、現代の日本社会にもそのまま受け継がれいるのです。「島耕作」読むとよく分かりますが、大企業でも「リーダーとはどうあるべきか」という基準は不明確で、前任者が気分次第で次のリーダー選ぶ、というのが一般的です。
それでは、しっかりしたリーダーが育つわけありませんね。
だから日本は「労働者は世界一優秀。経営者は世界一無能」なんて言われてしまうわけです。
高度成長期ならそれでも良かったかもしれませんが、現在のような低成長でしかも競争の激しい時代、そんなんでは日本が沈没してしまいますがな。
もうボチボチ、リーダーとはどうあるべきか、そしてリーダーを養成するには、どうしたらよいか、戦国時代の君主教育にでも立ち返って、しっかり考える必要があると思います。
<まあまあ>
①上田武司「魚河岸マグロ経済学」集英社新書2003
マグロ仲買商の語ることばを劇画風にまとめた本です。
マグロにまつわる経済活動について、非常によく分かりました。
おいしいマグロの選び方も参考になりました。
②網野善彦「中世の非人と遊女」講談社学術文庫2005
学術論文集ですね。かなりアカデミックです。
前に時代小説で読んでから、江戸の非人頭・車善七に興味をもっておりまして、その関係の話を期待して読んだのですが、残念ながらまったく出てこず。もっばら被差別階級の発祥についての考察でした。
非人や穢多は、もともと朝廷に直属する一種の聖職者(穢れを払う人たち)だったそうで、それがいつのまにか被差別民化したとのことです(たぶん)。
ちなみに車善七は、世襲名です。
代々、そこらの豪商顔負けの富と権力を誇り、邸宅は吉原の隣接地で900坪もあったとか。
いくつか本が出てるので、そのうち読みたいと思います。
③飯田泰之「ダメな議論」ちくま新書2006
ダメな議論とは、一見理屈が通っているが、実はそうではない議論のことです。
本書はそれを見抜く方法を解説したものです。
著者が示すチェックポイントは次の5つ。
・単純なデータ観察で否定されないか
・定義の誤解・失敗はないか
・無内容または反証不可能な言説
・比喩と例話に支えられた主張
・難解な理論の不安定な結論
これらは科学理論を検証するときのチェックポイントと同じです。
本書で取り上げている「ダメな議論の実例」はたいへん参考になりました。
④清水義範「日本語がもっと面白くなるパズルの本」光文社文庫1991
日本語トリビア問題集です。
NHKでは「テトラポット」という言葉を使わない(使えない)そうです。知りませんでした。
じゃあなんていうかというと「波消しブロック」。分かりにくいと思うのですけどねえ。
⑤清水義範「ことばの国」集英社文庫1993
同じく清水先生。「ことば」をモチーフにした小説を集めた本です。
笑えます。
⑥中島孝志「40歳からの人を動かす「表現力」」講談社+α文庫2004
読んで字の如く、うまい表現の方法を解説した本です。
小難しい理屈はなく、実例中心なので非常に分かりやすいです。
40歳からの、というのはあまり意識する必要ないですね。
年齢に関係なく、参考になると思います。
⑦森義信「メルヘンの深層」講談社現代新書1995
メルヘンには、たくさんの歴史情報が含まれている、という仮説を紹介した本です。
心理学系のメルヘン解釈本でも引用されていました。
⑧鈴木秀子「9つの性格」PHP1997
エニアグラム解説本のスタンダードですね。かなり売れたと思います。
文庫化もされています。
エニアグラムというのは大昔にアフガニスタンのあたりで体系化された、性格タイプ理論の元祖で、君主教育で使われていたものだそうです。それゆえ元々は門外不出の秘法だったのですが、ユングがこれを研究して発表したため、世界中の知れるとことなったのですね。
エニアグラムでは、人間の性格を単純に分類するのではなく、多面的に評価します。
この発想は、そのままユング系の性格タイプ理論MBTIに受け継がれいます。
一度は読んでおいて損のない本だと思います。
⑨塩田丸男「人体表現読本」文春文庫2003
「てぐすね」とか「ぼんのくぼ」とか、人体のパーツが含まれている表現を集めて解説した本です。なかなか面白かったです。
⑩黒柳徹子「トットの欠落帖」新潮文庫1989
大ベストセラー「窓際のトットちゃん」の続編ですね。なつかしくて購入。
黒柳さんのビックリエピソード満載。とにかく黒柳さんって、変わった人です。
⑪守屋洋「中国古典の人生学」PHP文庫1993
ご存知、守屋先生の中国古典もの。朝三暮四とか舎短取長とかといった四文字熟語の原典を解説したものです。
最近は守屋先生の息子さんも活躍されてますね。
⑫谷原誠「するどい質問力」三笠書房2008
弁護士さんの書いた、質問ノウハウ本です。
H中将からご推奨いただいたので急遽、国会図書館にて通読。
ラポールの形成方法とか、セミナーなどでの軽い質問の方法とか、たいへん勉強になりました。
JUASレポートでも引用する予定。
⑬保阪正康「昭和史七つの謎」講談社文庫2003
タイトル通り「昭和史もの」です。
保阪先生の文章はちょっと読みづらいのが玉に瑕ですが、内容は豊富です。
取り上げられているエピソードは五一五事件、東京裁判など。
⑭保阪正康「昭和史七つの謎 Part2」講談社文庫2003
上記の続編です。
吉田茂といえば英語屋というイメージでしたが、実は幼少期にかなり高度な漢文教育を受けていたんですね。まったく知りませんでした。
⑮源田實「海軍航空隊発進」文春文庫1997
海軍航空隊始末記の前編にあたるものです。
大正から昭和初期にかけての海軍航空隊黎明期の様子がよくわかります。
⑯白石謙二「人に好かれる声の磨き方と話し方」長岡書店2010
ボイストレーニング本です。
面接セミナーで声が聞きづらいといわれたので、八重洲ブックセンターに買いに行きました。DVD付き。でも結局、1日しか練習しておらず。。。
明日からがんばります。
⑰社会保険庁有志「年金をとりもどす方法」講談社現代新書2004
年金ノウハウ本です。
ちょっと情報が古いと思いますが、とりあえず参考になります。
⑱浜口直太・上野則男「目的達成の教科書」ゴマブックス2009
目的を明確にする方法などについて解説した本です。
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