松井孝典・南伸坊「「科学的」って何だ?」ちくまプリまー新書2007

東大の先生、松井孝典のイラストレーター、南伸坊の対談録です。

世の中に流布されてる情報、マスコミやネットの情報もそうですし、たとえば会社の中などで確信されているようなことにも、間違っていることが多いものです。
先般大騒ぎになっていた「安保問題」なんてのは、その最たるもので、喪服で国会に来る議員まで飛び出す始末では、この国の知性も本当に危ういと思います。

自分では、もちろんそういうアホな情報に染まっていない(染まらない)つもりでありますが、これだけ毎日ウソと偽りに囲まれていると、少しは防衛対策もしなければならない。
それで、たまに科学とか哲学の本を読んで頭をリセットするようにしています。

この本はじっくりと科学論を書いたものではなく、科学にまつわる疑問を南伸坊が質問し、松井先生が答えていくというスタイルで、ちょっと物足りなさはあるものの、結構勉強になりました。

・わかる・わからない=科学、納得する・納得しない=世間
科学的に解決できない問題について、あたかも科学的な論拠があるかのように喋るひとというのは、だいたい嘘つきですね。安保で騒いでいるひとの主張は、大概このパターンです。

・プロでなければ「何がわかっていて、何がわからないか」の境界線はわからない
まったくその通りですね。
われわれIT屋を含めて理系的な分野に携わるものは、素人の「わかった」「わからない」ふ振り回されることが多いです。「俺がわからないのはお前らの説明が悪いからだ」的なね。
仕方ないのでメタファを総動員して説明を試みますがだいたいろくなことにならない。

・エコロジストや環境問題を語るひとのうさんくささ
環境問題を語るのであれば、本来は地球の専門家でなければならないはずですが、テレビでわあわあ騒いているひとは、たいていの場合、全然別のひとで、経済の専門家みたいなまったく畑違いのひとまでいる。
なんでそういうニセ専門家や偽善者が流行るかというと、人間には「自分が正しいことをいっている」という満足感を得たいという欲望があることがひとつ。もうひとつは、単純に金のため。

まったくその通りだと思います。

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