佐藤優「人に強くなる極意」青春新書2013
しばらく書評をなまけておりましたが、再開します。
ひさしぶりに佐藤優せんせい。
鈴木宗男せんせいといっしょにつかまってしまった元外交官。高裁で判決が覆らなかったのはたいへん残念ですが、現在は著述業で大活躍されており本書によると月間1000枚!だそうです。
この方の文章は非常に情報密度が高くて、まったく無駄なところがありませんが、たいへん構造的なので、いわゆる「拾い読み耐性」もあります。私が私淑しております先生のおひとり。
この本はBig Tomorrowに連載していたエッセイをまとめたもので、タイトルを見るとハウツーものみたいですが、実際は佐藤優的「仕事上の心構え」みたいなものを論じたものです。
各章末におすすめ本が記載されています。
さっそくアマゾンしたところ、一冊検索しただけで、ほかの本もまとめて出て来ました。私と同じ行動した人が多いてことですな。あらためて「影響力」の強さを感じます。
たいへん勉強になりました。
・いくらあっても満足が得られないのがお金の本質
モノであればある程度手に入れれば「限界効用逓減の法則」で満足するが、金だけは際限がない。外交の世界では「情報を金で買うな」という鉄則がある。
・夢や目標をただの「執着」と区別する。
「あきらめない」で頑張るのは、一般的にはすばらしいこととされるが、たとえば嫌われている女の子をあきらめずに追い回せばただのストーカーになってしまうように、いつも何に対しても「あきらめない」のが良いとは限らない。現代社会では、マスコミやらコマーシャリズムやらにまんまとはめられて、本来「あきらめるべきもの」を追いかけまわして時間や金を無駄にしているものが非常に多い。
・明日できることは今日やらない。
「今日できることは今日やる」という概念にとらわれていると、仕事の優先順位やタイミングを外してしまう。
・判断が遅い人ほど、後から方針が変わることが多い。
判断が遅いというのは、要するに「事前検討」「事前シミレーション」が不十分な証拠。
問題に直面してから考えているようではクオリティの高い判断を迅速に行うことはできない。
・会社が育てるというより、鍛えるという雰囲気だったら逃げた方がよい。
不条理で報われないことがたくさん起こる。
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