監修・渡部昇一「国民の修身 高学年用」産経新聞出版2013
国民の修身の続編で、高学年用教科書の内容を抜粋したものです。
全体を、我が国、公民の務め、祖先と家、勤勉・勤労、自立・自営というセクションにわけています。
低学年用に比べると、かなり固い内容になっていて、滅私奉公とか忠孝愛国的な話が結構出てくるので、反日的なひとからは、軍国主義を称揚するものと批判されるかもしれませんが、よく読めば、侵略とか略奪を正当化するようなことはひとこともなく、明治以降いろいろ苦労したがみんな頑張ったのでここまで来た。これからも平和のため、国家のために、みんなで頑張ろうというようなことが書いてあるだけです。
低学年用同様、偉人エピソードもたくさん出てきます。
勝海舟、渡辺崋山、石井十次(日本最初の孤児院の創設者)、吉田松陰、杉滝(松陰の母)、林子平(江戸末期の政治学者、海国兵談)、古橋源六郎(明治初期の農村指導者、馬市場・養蚕の発展に貢献)、伊藤東涯(江戸初期の儒学者、荻生徂徠と友好)、伊藤小左衛門(幕末から明治の実業家、三重県四日市の工業都市化に貢献)、井上でん(久留米絣の発明者)、伊能忠敬、高橋至時、新井白石、高田善右衛門(幕末の近江商人、天秤棒かつぎ商人から身を興す)、高崎正風(幕末志士、薩摩藩士、初代国学院院長)、ジェンナー(種痘)、コロンブス、上杉鷹山、佐久間勉(明治の海軍軍人、潜水艇の実験中に事故死)。
・礼儀
汽車・汽船・電車などに乗った時には、互いに気をつけて、人に迷惑をかけないやうにすることが必要です。自分だけ席を広くとったり、不行儀ななりをしたり、いやしい言葉づかひをしたりしてはなりません。集会所、停車場其の他、人がこみあって順番を守らなければならない場所で、人をおしのけて、われ先にと行ってはなりません。(中略)
外国人に対して礼儀に気をつけ、親切にするのは文明国の人の美風です。
・博愛
(前略)
知ってゐる人も知らない人も博く愛するのが人間の道であります。いろいろ災難にあって困ってゐる者を救うのはもちろん、たとひ敵でも、負傷したり、病気になったりして苦しんでゐる者を助けるのは、博愛の道です。明治三七八年戦役に上村艦隊が敵の軍艦リューリクを打沈めた時、敵のおぼれ死なうとする者を六百余人も救ひ上げたのは名高い美談であります。
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