児玉龍彦「内部被曝の真実」幻冬舎新書2011

東大アイソトープ研究センター長。原発事故後、国会に参考人として呼ばれて、セシウム137の危険性などを語られた方です。
なんで内部被曝がやばいのか。
要するに遺伝子が損傷されるからだそうです。遺伝子は細胞分裂するときに、二重螺旋がばらけて一本になる。そのときは状態が不安的で無防備なので放射線を浴びると簡単にダメージを受けてしまう。(だから細胞分裂をたくさん行っていう子供に被害が出やすい)遺伝子にはエラーリカバリ機能の部分があって、そのひとつがp53というのだそうですが、たまたまそれがやられると、遺伝子が修復されないままコピーされ、要は細胞がガン化するということだそうです。
日本の科学者は核問題、原発事故問題の解決にものすごく貢献している。
猿橋勝子先生(故人。元 東邦大学学長)。
恥ずかしながら、この先生のことは全然知りませんでした。
1960年代の水爆実験が深刻な放射能汚染を招いていることを証明。大気圏内核実験の禁止に大きく貢献。日本近海の海水を測定してセシウム137が増えていることを発表するも、当初はアメリカの大先生に否定される。その後、アメリカにわたって、その先生と公開実験を行い正しいことを証明したという強者。すげえわ。
笹川財団の資金援助で、チェルノブイリの大規模追跡調査。
1986年の事故直後から、ヨウ素131と甲状腺がんの関係が疑われていて、1991年にウクライナの学者が学会で発表したりしていたわけですが、ロシア、アメリカ、そして日本の権威までもが「統計学的に有意ではない」と否定的だったわけです。それをしつこく調査し続けるのに、日本も貢献、約4000件の甲状腺ガン患者の10分の1は日本チームが発見したといわれています。で、約20年後の2005年。IAEAも正式に、チェルノブイリ事故と甲状腺ガンの関係を認めたという話です。
たいへん勉強になりました。

コメント

人気の投稿