深澤真紀「思わず使ってしまうおバカな日本語」祥伝社2007
おバカな日本語というのは「間違った日本語」ではないけれど、ちょっとへんな表現。頭悪げに見える日本語だそうです。著者は最近よくコメンテータとしてテレビに出てる人ですね。
◆「私ってコーヒー飲めない人じゃないですか」(自分大好き語)
著者によるとこの表現には、コーヒー飲めないことをアピールしつつ、そんなちょっと繊細な自分を自慢したいという心理があるのだそうです。なるほどね。
◆「じゃがいもをきってあげてください」「ネコにごはんをあげる」(幼稚丁寧語)
まさにバカ丁寧。こういう物言い、最近はむしろふつうかもしれませんが、正直気持ち悪いです。この裏には責任回避したい意識もあるのだと。まったく同感です。
◆「女優さんのお仕事」「ぼくはお買い物をします」(過剰美化語)
自分の仕事とか、やることに「お」をつけてしまうというやつですね。女がいうならまだしも、若い男がいってると非常にキショい(気色悪い)し、頭が悪く見えます。
敬語の分類って以前は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つでした。
それが2007年に文化審議会国語分科会が出した「敬語の指針」という答申では、なんと5分類に拡大しているそうです。
「尊敬語」「謙譲語1」「謙譲語2(丁重語)」「丁寧語」「美化語」
謙譲語1てのは、従来型の謙譲語。つまり、動作の対象となる相手への敬意をあらわすもので、「伺う」「申し上げる」てなものです。
これに対して「謙譲語2」というのは昔は間違いとされていたようなもので、自分の動作を丁寧にというやつです。たとえば「申す」。
そして「美化語」は、「お酒」「お化粧」など。敬語というのは本来会話や文章の相手に対して丁寧に述べるものですが、これらは、(相手ではなく)ものごとを美化するということで従来の丁寧語からは分類しようというものです。
日本は恐らく世界に類の無い「敬語中毒」の国です。
どの言語にも敬語表現というのはありますし、どの国でも相手を敬う心はあると思いますが、日本のようにこれほど敬語表現が次から次へと生み出される国というのは少なくともメジャーな国ではありません。しかも日本で新しい敬語を開発しているのは主に若者たち。
しかしこれは「相手を敬いたい衝動にかられて」では決してない。
ではなんのために次々と敬語が産み出されるのか?
思うに、相手との間に「一定の線を引きたい」「(いちおう仲間とかいいながら)一定の距離を置きたい」「連座したくない」というような「そんなの関係ない(古いか?)!」的な精神の表れかなあと。
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